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第10部「子供」

10部 子供





川・下流  12時01分   獏
『ザバァッッ』
獏が浅くなった所で岸に上がる。
「ハァァァァ・・・ハァァァァァ・・・・ち、ちくしょぉーーー!!」
獏はバッグの中を確認する。
水でダメになった食料を捨てる。
「・・・・ちぃ、武器・・・あいつに取られたか・・」
獏がさっき持っていた銃は、奪ったもので、獏の支給武器は釘がたくさんである。
獏は無言で立ち上がり、上流へと歩いて行った。
『・・・もう食料がねぇ、無駄に体力を消費すんのは止めっか・・・』

林  11時43分   春咲
「・・・・な、なんだょ・・・・これ・・・」
春咲が林の前を通りかかると、そこにはなんと。
林の前の道路には誰かわからない男の死体が3体。
林の中には女の死体が3体。
「・・・ん?」
女の死体の中の1人の死体が手に生徒手帳を持ってきた。
春咲はそれを拾って見る。
「・・・・佐藤・・・・絵瑠?」
その手帳には紛れも無く「佐藤 絵瑠」の名前が書いてあった。
恐らくこの死体が佐藤なのだろう・・・

団地  10時21分   牧屋・秋長
「・・・・子供?」
牧屋が開けた押し入れの中には、寝ている6歳ぐらいの男の子がいた。
「・・・・えぇーーー・・・・」
牧屋はその男の子を抱き上げる。
「ねぇ、マッキー・・・おわっ!」
洗面所から来た秋長が牧屋の持つ子供を見て驚いた。
「・・・・な、マッキー・・・・隠し子かょ・・・」
「・・・ち、違ぇよ!!な、なんか・・・押し入れで寝てたんだょ・・・」
「なんで・・・?」
「なんでって・・・俺もわかんねぇよ・・・」
「とにかく護ろう、死なないように」
「だね、こいつは殺し合いしなくても生き残れるんだしね」
「うん」

ガソリンスタンド  石松・新野   11時43分
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・客来ないね」
「客待ってたの!?来る訳無いでしょぉ」
「マジでぇ?」
「・・・・どうするょ、もう・・・・昼だょ」
石松はスタンド内の時計を見て言った。
「・・・よし、じゃあ腕立てしようか」
「はぁーー?」
「ゴメン、冗談」
「わかるょ」
石松は頬杖を突いてため息をした。
「・・・・恋?」
「違うから」
石松は立ち上がって伸びをした。
「んーんー・・・・ふぅ」
その時だった、かなり遠くの方で何かがキラッと光った。
それに新野はふと気付いた。
「あ・・・」
『チュン』
小さくて短い音がした。
「ん?」
新野は音のした石松の方を見た。
石松は、2~3歩よろめき倒れた。
「・・・・石松っさん?・・・・ぉい、石松!」
新野は石松の死体に駆け寄り、体を摩る、しかし返事は無かった。
新野は、自分の心臓の位置で動くごく小さな赤い光が、レーザーポインターだと分かった。
「っくそぉ!!」
新野は前にヘッドスライディングの形で飛んだ。
『スパンッ』
今新野がいた位置を銃弾がえぐる。
新野は走って事務に入る。
「・・・スナイプか・・・どっかに殺し屋並みの暗殺能力のやつがいる・・・い、石松は死んだ・・・・ちぃ・・・・ス、スナイプだったら女でもできるな・・・・
男がやったのか!?女がやったのか!?女・・・・・かなぁ・・・だったら怖ぇ・・・・女怖ぇ!!・・・・とにかく、石松を殺したやつを殺るかな・・・・
何様だょ・・・・ヨン様かょ・・・」
新野は独り言が多かった。
「ョ、ヨン様は面白いなぁwまた誰かに使おうw」

「・・・・ちぇ、石松は殺れたけど・・・新野は無理だったぁ・・・ちぇ」
「早いとこ殺ってくれょ、1人でも生きてちゃ取りに行けないからさぁ」
「・・・うん、ゴメン」







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